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ドゥービー・ブラザーズ 物語の舞台はテキサス州にある小さな町 チャイナ・グローヴ The Doobie Brothers - China Grove


ドゥービー・ブラザーズ 物語の舞台はテキサス州にある小さな町 チャイナ・グローヴ The Doobie Brothers - China Grove


"The Doobie Brothers - China Grove" は、1973年にリリースされたアメリカのロックバンド、ドゥービー・ブラザーズの代表的な楽曲の一つです。アルバム『The Captain and Me』に収録されています。


物語の舞台はテキサス州にある小さな町「チャイナ・グローヴ(China Grove)」。

そこに住む人々はちょっと風変わりで個性的。例えば、空手を教える先生がいたり、町の人々がみんなちょっとだけクレイジーだったり。主人公はその町を車で走り抜けながら、「なんて奇妙でおかしな町なんだろう」と感じます。


でも、それと同時にどこか魅力的で、頭から離れない不思議な町として描かれており、歌全体にはユーモアとエネルギーがあふれています。


『チャイナ・グローヴ奇譚』

そこは地図にもちゃんと載っている、テキサス州の小さな町だった。
だが俺にとっては、まるで幻のような、忘れられない不思議な場所──チャイナ・グローヴ。

あれは3年前のこと。
テキサス州の州道を南に向かって車を走らせていた。空は抜けるように青く、FMラジオからはどこか懐かしいギターリフが流れていた。ふと気づくと、看板に「Welcome to China Grove」の文字。なんの気なしに車を降りて、その町に足を踏み入れた。

最初に出会ったのは空手道場だった。いや、正確には“空手と数秘術”と書かれた看板が出ていた建物だ。中をのぞくと、サングラスをかけた東洋風の顔立ちの男が、十字を切りながら蹴りを放っていた。生徒たちはなぜかみんなカウボーイハットをかぶっている。

「おい、兄ちゃん、見学か?」
「ええ、ちょっと通りがかりで……」
「ふふ、ここじゃ道場破りもタロットで決まるんだぜ。運命と勝負してみるか?」

そう言って笑う男の歯は金色に光っていた。

町を歩くと、どの家にも妙な飾りがある。
風車にクリスマスの飾り、門には木彫りの龍。中にはアニメのキャラクターを神棚に祀っている家もあった。住民たちは誰もが陽気で、ちょっと風変わりだった。通りすがりの老婆に「あなた、たぶん水星逆行中ね」と言われて、笑ってごまかすしかなかった。

それでも不思議と居心地は悪くなかった。むしろ心がふっと軽くなるような、どこか“解放”される感覚があった。

バーに入ってみた。店内には紫のネオンとロデオマシン。奥にはピアノが置かれていて、黒人の男がブルースを弾いていた。カウンターでバーボンを頼むと、隣に座っていた少女がこちらを見て言った。

「ここに来る人は、みんなちょっと壊れてるの。でも壊れてる方が、音楽に乗れるのよ」

「君は?」

「私はね、壊れてないふりしてるだけ」

その瞳はやけに大人びていた。年齢なんて、この町では意味をなさないのかもしれない。

翌朝、町の広場ではなぜか“朝のカンフー瞑想セッション”が開かれていた。軽快な音楽に合わせて、老人も子どもも、宙に向かってパンチを繰り出す。教えているのは昨日のあの道場の男だった。俺を見つけると、親指を立てて笑った。

昼前には神父の格好をした男が馬に乗って通りを駆け抜けていった。
「今日も神のテストに合格だぜぇ!」と叫びながら。

午後、郵便局で「一番謎な手紙に金メダル」が贈られるセレモニーがあり、表彰されたのは「未来の自分へ」宛ての手紙だった。差出人は犬の名前になっていた。

狂っている。だが、それが当たり前に見えてくる。不思議な町、チャイナ・グローヴ。

そして日が沈む頃、町は一変する。
ネオンが灯り、広場では楽団がジャズを奏で、人々は自然と踊りだす。通りには屋台が並び、スパイシーな匂いと甘い煙が漂っていた。知らぬ間にビールを手にして、俺もその流れに身を任せていた。

「ここにずっといてもいいんだよ」と誰かが言った。

ふと気づくと、町には境界がない。どこから入ったのかも、どこに出口があるのかもわからない。時間の感覚すら曖昧になる。現実と幻想の境目が、音楽のリズムに溶けていく。

──だけど、俺は帰らなくちゃいけないんだ。

翌朝、目を覚ました俺は、車に戻った。チャイナ・グローヴの看板はもうなくなっていた。まるで、最初から存在しなかったかのように。

あれから幾度もその道を通ったが、二度とチャイナ・グローヴの町に出会うことはなかった。

それでも、ラジオからあのギターリフが流れてくるとき、胸の奥でなにかが踊りだす。
あの陽気な町の人々、紫のネオン、空手と数秘術、壊れた世界の自由さ。

たぶん、チャイナ・グローヴは、俺たちの心のどこかにだけ存在する町なのだ。


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